フルムーンパーティの夜
東京サブレinタイ 10
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満月の夜 ─ ぼくの泊まっているゲストハウス前に、コ・パンガン(パンガン島)へと渡るトラベラーたちを満載したピックアップトラックがやってきた。今夜はサムイ島北側のビーチからコ・パンガンに向けて次々にボートが出るのだ。ぎゅうぎゅう詰めのトラックはいちばん最後にぼくを拾って、夜の道を船着き場に向かった。
バングラックピアという名の桟橋はもうすでにパーティ気分でハイになった白人旅行者たちでひしめき合っていた。百人は乗れるであろう大きなフェリーに乗り込むときに木製の桟橋がギシギシと揺れると、一斉にみんなで「Oooooh!」と叫んだ。
パンガン島まで30分、高速フェリーは海の上を走る。空には丸く輝くお月様。隣の席の南欧人らしき女の子が肩に「友」というTATTOOをしていた。友。外人って漢字が好きだよな。やがてフェリーはコ・パンガンのハートリン・ビーチに到着した。
今夜はコ・パンガンのフルムーンパーティ。満月の夜のどんちゃん騒ぎ。1万人を超える旅行者たちがオールナイトで踊り明かす夜なのだ。
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船が着いたサンセットビーチから、人混みをかき分けて会場のサンライズビーチへと向かう
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祭りだ祭りだ
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コ・パンガン名物バケツカクテル
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この日いちばんのHIPな人たち
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サンライズビーチはパーティを楽しむ人々で埋め尽くされている
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テクノ、レゲエ、ロック。会場のあちこちで鳴り響く音楽にファイヤーダンス。そして狂喜乱舞して狂ったように踊る人たち。ええじゃないかええじゃないか!踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃSong Song!
ビーチではイギリス人のベンというやつと仲良くなった。ベロベロに酔っているベンはぼくにウォッカベースのバケツカクテルを執拗に勧めた。そしてベンはぼくの名前を聞くと「チョットマテ」と日本語で言い、ひとつひとつ思い出しながらゆっくりと、砂浜にひらがなで文字を書いた。
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すずき
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おお、ベン。上手じゃないか。ベンにはオーストラリアで知り合った日本人のガールフレンドがいるらしい。来年、日本にやってくるそうだ。ひらがなもその彼女に教えてもらったんだって。
「チンチンチイサイ!」
あ、誰にそんな日本語を教えてもらったんだ?
「ちんちんデカい!」「おまんこしたい」…ベンは今日、また新しい日本語をいくつか覚えたようだ。よかったよかった。ゲラゲラ。
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そして鈴木はチルアウト中
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みんなもときどきはこんな風に馬鹿になって一晩中踊ったりすればいいんじゃないかなと思う。めんどくさいこと、ややこしいこと、ゆううつなこと、いやなこと、なにもかもぜんぶ忘れて。さあ、あなたも、わたしも、朝までいっしょに踊りましょう。夜はまだまだつづくのだから。
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踊り疲れたぼくが空を見上げると、煌々と輝く丸い月が、この島と馬鹿になって踊り狂う人々をいつまでも、いつまでも優しく照らしていた。(つづく)
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【再掲】フルムーンパーティの夜(初出2007年9月17日)